特許調査について

どこで調査を終えるか

例えば出願前に先行技術文献調査を行う場合に、どの程度の調査を行えばよいか多くの方が迷うのではないでしょうか。出願しようとする発明のポイントと同じ内容や近い内容が記載された文献が見つかって特許性が低いと判断できるような場合には、限定を追加して出願したり、あるいはその出願は取りやめ、予算や時間を他の案件に割り当てるというような対応をとることができると思います。このようなケースですと一応調査の目的は達することができたと考えられますので調査を終えることができると思います。一方、特許性を否定する文献 が見つからない場合には、どこで調査を終えるべきか悩むことになるのではないでしょうか。

100%の調査は困難

なお先行技術文献調査は特許や実用新案の文献を調査対象とすることが多いですが、法律的には新規性や進歩性の判断の根拠となる先行技術は特許や実用新案の文献に限定されるものではな く、他の刊行物やインターネットで得られる情報、さらには不特定人(守秘義務を負わない者)の知識等も新規性や進歩性の判断の根拠となりえます。しかしながら、このようなものをすべて調査することは現実的には困難であり、また特許や実用新案の文献に絞ったとしてもその文献数は膨大で、いくら時間をかけて先行技術調査を行ったとしても100%特許性ありと断言することは困難です。

調査を終える目安

では何を目安とすればよいでしょうか。特許出願は特許庁の審査に通ることが目標になりますので特許庁の審査と同等の先行技術文献調査を行うということがまず考えられると思います。しかしながら、特許庁の審査では1000以上の文献をスクリーニングすることは普通ですし2000以上の文献をスクリーニングすることも珍しくありません。先行技術文献調査にかけられる時間や、あるいは特許事務所、特許調査会社等に調査を委託する予算が十分であれば特許庁の審査と同等の先行技術文献調査も可能と思いますが、現実的には特許庁と同等の先行技術文献調査を行うことは時間や予算の面で難しいことが多いのではないでしょうか。

また、どうせ100%の調査はできないのだから調査など行わずに出願してしまうという考え方もあるかもしれません。しかしながら、このような考え方もおすすめできません。登録調査機関で先行技術文献のサーチをしておりますと、サーチを開始して早い段階でサーチ対象の発明と関連性が特に高いと思われる分類からX文献(新規性を否定する文献)や有力なY文献(進歩性を否定する文献)が見つかることがしばしばあります。このような案件に遭遇しますと、そのような関連性が特に高いと思われる分類についての調査くらいは出願前に行っておくべきであったのではないかと考えてしまいます。なお、このようなケースは必ずしも個人や中小企業の出願に多いというわけではなく、むしろ大手企業の出願に多いように思われます。もっとも大手企業の出願数が多いので結果的にそうなっているだけかもしれません。

そうしますと特許庁の審査と同等の先行技術文献調査とまではいかないものの、特許庁の審査と同等の先行技術文献調査を行うと想定した場合に、サーチを開始して早い段階で検索することとなるであろう、サーチ対象の発明との関連性が特に高いと思われる分類を調査範囲とするという選択が考えられると思います。弊所ではこのような観点で基本調査を設定しております。また、より詳細な調査にも対応すべく追加調査を設定しております。また低額のニーズにも対応すべく簡易調査も設定しております。簡易調査は基本調査と比べますと精度が低くはなりますが、上記のように出願を検討している発明のポイントと同じ内容や近い内容が記載された文献が見つかるような場合には調査の目的を達することができたと言えると思います。また弊所の基本調査と同様の調査をお客様の方で行いたいという場合には、分類や検索式等に関するご相談という形でサポートすることも可能です。

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