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図形商標のイメージ検索

図形商標を検索する場合、J-PlatPatでは検索しようとする図形をウィーン図形分類を入力することにより限定しますが、下記のToreruやGlobal Brand Databaseでは検索しようとする図形のイメージファイルを入力することにより図形商標の検索が可能です。なおグローバルブランドデータベースはWIPOのサイトですが我が国の商標公報も検索できます。

Toreruによるイメージ検索

Toreru

使い方

「画像商標検索」のタブを選択し、「ファイルを選択の欄」をクリックしますとPC内などのファイルを選択できるようになりますので検索したいイメージファイルを選択します。そして右側の「検索」のボタンをクリックしますと検索が開始され、検索結果が下に表示されます。なお、入力できる画像ファイルの形式はjpeg、png、gif、bmpに限定されます。

ところで検索したい図形が描かれているファイルがPDF形式である場合もあるかと思います。このような場合にjpeg等の画像ファイルに変換する方法を簡単に説明します。まず検索したい図形が描かれているPDFファイルをAdobe Acrobat Reader DCで開きます。そして「編集」のタブの「スナップショット」を選択し検索したい図形が描かれた領域をマウスで囲みます。これで検索したい図形がコピーされます。次にWINDOWSアクセサリの中のペイントを立ち上げ、左上の「貼り付け」ボタンを押しますと図形がペーストされます。そして「ファイル」のタブの「名前を付けて保存」にカーソルを合わせますと右側にjpeg等の画像ファイルの形式が表示されますので変換したい形式を選択してファイル名を入力します。これでjpeg等の画像ファイルが作成されます。

Global Brand Databaseによるイメージ検索

Global Brand Database

使い方

「Drag & drop image your image here, or」の欄にイメージファイルを入力します(イメージデータのアイコンをドラッグします)。さらに入力したイメージデータの右側の「Search strategy」の欄から例えば「Conceptual similarity」を選択し、下の「Designation country」の欄に「jp」、「Nice classification」の欄に「XX」(区分)を入力します。そして画面右下の「Search」のボタンをクリックしますと検索が開始され、検索結果が表示されます。

TMviewによるイメージ検索

TMview

使い方

「画像をドラッグ&ドロップするか、~」の欄にイメージファイルを入力します(イメージデータのアイコンをドラッグします)。さらに下のプルダウンメニューの「テリトリー」、「機関」、「商品およびサービス」を適宜選択します。そして画面右上の「検索」のボタンをクリックしますと検索が開始され、検索結果が表示されます。

ウィーン分類の選択に利用

図形によっては該当するウィーン図形分類を特定しにくいものもありますが、このような場合でも上記のイメージ検索を用いれば図形のイメージから直接図形商標を検索できますので便利です。ただし画像処理の精度や信頼性を考えますとイメージ検索にすべて頼るのではなく、ウィーン図形分類検索とイメージ検索を併用するのがよいと考えます。両者を併用することでサーチ漏れの低減が期待できます。また例えば検索しようとする図形に近い商標をイメージ検索によって見つけておいて、その商標に付与されているウィーン図形分類を参考にしてウィーン図形分類を選択することで分類選択の精度の向上も期待できます。

特実の先行技術文献調査でFタームやFI等の分類を選択する際、パテントマップガイダンス等から分類を選択するだけでなく、テキスト検索等で見つかった文献に付与されている分類を参考にすることが有用なことが多いですが、図形商標の調査でもウィーン図形分類検索とイメージ検索の併用が有用と考えます。

ダイレクトPCTと審査ハイウェイ

PCT出願が増加

外国に特許出願する場合、パリルートかPCTルートのいずれかを利用することが多いと思います。PCTは費用が高いので例えば3か国以上に出願するならPCTルート、2か国以下ならパリルートを選択するというようなことをよく耳にします。したがって、PCTルートはどちらかというと少数派というイメージだったのですが、先日WIPOの方が講師をされているセミナーに参加しましたところ数年前からPCTルートで権利化されるケースがパリルートを上回っているそうです。

ダイレクトPCTの増加

私が扱ったPCTの案件ではまず国内に通常の特許出願をしておいて、これを基礎とする優先権主張をしてPCT出願をするというパターンが多かったのですが、最初からPCT出願するダイレクトPCTも増えているそうです。PCT出願では国際調査見解書が得られるため特許される可能性をある程度予測することができます。したがって、その後の国内移行や翻訳文の作成を進めてよいか判断しやすいことが理由の1つと考えられますが審査ハイウェイも関係しているようです。

審査ハイウェイとの関係

例えば出願人は国際調査見解書によって特許される可能性が高いと判断した場合、まず自国に国内移行して特許査定を受け、これに基づいて審査ハイウェイを利用して外国に出願することで外国でも特許査定が得られる可能性が高くなります。慣れない外国で拒絶理由が通知されると中間処理のための対応や費用の負担が大きくなりますが審査ハイウェイを利用することで拒絶理由が通知される可能性が低くなりますので中間処理の負担の抑制が期待できます。また結果的に権利化できずに終わってしまう外国出願のための無駄な翻訳文の作成費用の抑制も期待できます。

なおパリルートや優先権主張を伴うPCTでも審査ハイウェイを利用することは可能ですが、例えば自国で特許査定を受ける前に外国で審査が開始されてしまいますと審査ハイウェイの効果が得られなかったり効果が限定的となってしまう可能性がありますので、自国の審査は早期に受けることが望ましいことになります。ダイレクトPCTですと早期に国際調査見解書が得られますので自国で早期に審査を受けてもよいかどうか等の判断もしやすくなります。このようなことより外国へ特許出願をする場合は一応選択肢の1つとしてダイレクトPCT+早期審査+審査ハイウェイというパターンを検討しておくべきと考えます。

特許庁国際出願関係手数料表

PCT出願の料金

PCT出願の期間限定料金

ダイレクトPCT出願のモデルケース